心理療法のひとつに「リフレーミング」という技法があります。
不安障害の方はぐるぐる思考になりやすく、不安が止まらなくなります。リフレーミングは、ある考えにこだわりを持っていることをフレームととらえ、別のフレームに変えることを言葉によりおこないます。
理屈で言えば簡単なのですが、実際におこなうとなると話は別です。
「そんな考えがあったのか」と驚きを感じるくらいのインパクトがあるとフレームは変わるでしょう。
私が今まで読んだことのある人生相談モノで、一番インパクトがあったものを紹介します。
『生きる悪知恵』(著)西原理恵子
私が西原さんを知ったのは高校生の頃。月刊「近代麻雀」に連載されていた『まあじゃんほうろうき』を読んだのが最初でした。
そのときから、彼女のユーモアと少し毒のある笑いにすっかり魅了されていました。
いつの間にか人気作家になっていく姿を見て、なんだか自分のことのように嬉しく感じたのを覚えています。
そんな西原さんが書いたこの本は、一般の人々から寄せられた人生相談に答えるという内容です。
彼女の回答は、時に冷たく突き放すようでありながら、根底には温かさと人間味があふれています。ズバリ本質を突く言葉の数々には、思わず笑ってしまうものや、ハッと気づかされるものが多くありました。
中でも私が一番笑ったのは、「使えない部下にイライラします」という相談への回答でした。
西原さんの答えは、「ネジだと思えば腹も立たない」。
つまり、人間だと思うからイライラするのであって、ネジだと思えば「このネジはどこに使えるのか」と冷静に考えられる、というわけです。
この発想には思わず吹き出してしまいましたが、同時に妙に納得もしてしまいました。
人間関係に悩んだときに、少し視点を変えてみるだけで気持ちが軽くなる。そんな知恵が詰まっています。
ちなみに私は、この考え方を「使えない上司」にも応用してみました。
「私はネジなんだから、ドライバーで回して。トンカチで叩かないで!」
そう思えば、理不尽な上司の言動もどこか笑えてくる気がします。
このように、どんな相談にもユーモアと現実感を交えて答える西原さんの姿勢に、私は深い共感を覚えました。
西原さん自身、波乱万丈な人生を送ってきた人です。
だからこそ、その言葉にはリアリティと説得力があります。
「正論」ではなく「生き抜くための知恵」としての言葉が、心にスッと入ってくるのです。
人生の悩みを重く抱えたとき、この本を開けば、きっと少し肩の力が抜ける。そんな一冊だと思いました。