大学4年生の男子。高1のときに学校で突然、気持ち悪くなりFD発症。原因が思い当たらない。それから、人と食事するのが苦手になる。就職活動中の会食の場面で苦労したので(内定済)、今のうちに改善したいとのこと。
高1のときに特にストレス要因はなかったと言っていたが、「当時、脳の中は忙しくなかったですか?」と聞くと、「そうかもしれないです」との回答。
脳バテが原因だと考え、以下のように説明「頭の回転が速い人は、思考が止まらなくなり、脳がバテることがある。脳の役割は思考だけでなく、内臓のコントロールもあるので、脳バテは内臓の誤作動を起こすことがあります」
これまで吐き気の原因がわからなかったのが、本人的にも自分に何が起こったかがわかって安心した様子。
骨格調整をしつつ、脳を酷使しないための心構えやセルフケアを勧める。
2回目の来院。吐き気は一切なくなる。
思考が止まらなくなったときには、手先を使った趣味に没頭したほうがいいと話すと、「ピアノをやっているので弾きます」と元気に回答。
3回目の来院。調子はいい。このタイミングで、気圧と気温の変化が大きいと食欲がなくなるという話を聞く。
感覚面をチェックすると、固有覚と前庭覚が弱いタイプではある。
気圧の変化に弱いタイプは、重力への適応力が弱い。まずは、前庭覚と固有覚を育てるために『バルンポリン』を体験してもらう。
※『バルンポリン』とは、トランポリンの上にバランスボールを置き、その上で跳ねるエクササイズ。主に平衡感覚や固有感覚(体幹)を鍛えることを目的とした運動アプローチ
4回目の来院。調子はいい。『バルンポリン』も気に入った様子なので、毎回施術前に5分間跳ねてもらうことにする。
5回目の来院。知人と食事にいったが大丈夫だったと報告してくれる。知らない人との会食に慣れていくために、緊張する場面での飲食をできるだけ経験したほうがいいと話す。
また、気圧と気温の変化が大きい週だったので体調が少し悪かったとのこと。ここで、体幹の重力受容器と頭部の前庭器官を連動させる操作を行ったところ、酔ってしまい中断。
詳しく話を聞いていくと、出生時に「おぎゃあ」と泣かなかったため、新生児のときに半年間、保育器に入っていたとのこと。
6、7回目の来院。体幹の重力受容器と頭部の前庭器官を連動させる操作をしても酔わなくなる。
8、9回目の来院。気圧の変化に左右されづらくなってきたそうで、以前は気圧変化で食欲が落ちたりしていたが、今は大丈夫になったと話してくれた。また、内定者の会食でも問題なかったとのこと。
10回目の来院。知らない人との食事でも気持ち悪くならなくなった経験を重ね、会食に対する苦手意識も薄れつつある。気圧変化にも影響されにくくなってきている。卒業しました。
この男性の自律神経症状においてのポイントは2つあります。
ひとつは、FDの原因が自分ではっきりしなかったこと。そして、気圧変化に弱いということです。
原因は、脳がバテていたということ。そして、人との会食があるときに、「また気持ち悪くなったらどうしよう」と考えてしまい、脳がバテることで症状が続いてしまいました。しかし、原因がわかったことで落ち着いていき、会食で問題なかった経験を積み重ねています。対人に関わる問題は、成功体験がなによりのW薬Wです。
気圧変化に弱いことについては、発達段階においての発育の問題が関係していると考えられます。体幹(重力受容器)と頭部(前庭器)を連動させる操作で反応が強かったことがポイントです。しかし、発達段階でのつまずきは、取り戻すことが出来ます。足りなかった刺激を補っていけばいいのです。
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