正常とはなにか? キーワードは W優先順位W?!
『援助者必携はじめての精神科』春日 武彦(著)
なかなか興味深い本です。まず衝撃をうけたのは、手のつけられない精神病患者が来院した時の春日さんという精神科医の対処方法。 なんだかんだと話の流れで、「ついでだから採血もしておきます」と言って、注射をするときにどさくさにまぎれて睡眠導入剤をうってしまうというのです。そして、患者が朦朧としている状態のときに「入院しましょう」といって入院させてしまうという荒業。こんなこと正直に書いていいのかな〜と思ってしまうのですが、実際の現場ではきれいごとなど言ってはいられないのでしょう。
W病感Wという言葉があります。病感とは『自分にはどこかバランスを失ったところがあるな』『よくわからないが、 もしかすると具合の悪いところがあって治療が必要かもしれないな』と感じること。そして、いかに病感にアプローチして、「治療を受けたいけど受けたくない」といったアンビバレントな気持ちに踏ん切りをつけさせるのが重要だそうです。
この本で一番なるほどと思ったのが、『精神を病むということは、物事のW優先順位Wが、常識や良識から逸脱するとき』で、『かれらも我々も、W優先順位Wの 99% は同じ』 だそうです。つまり、『誰でも暑かったり寒かったりするのは嫌であるし、うまいものは食べたいし、他人からは親切にされたほうが嬉しい。でも、1% のW優先順位Wの差があちらとこちらを隔ててしまう』とのこと。
そして、このW優先順位の差Wこそが普段我々が感じる人間関係のややこしさの原因かもしれないなと思いました。当たり前ですが、人それぞれW優先順位Wは違うわけです。そして、誰にでも周囲に理解しがたい人はいると思いますが、その人のW優先順位Wが何か分かっていないから理解しがたいのではないのでしょうか。もしくは、分かりたくもないということもあるでしょうが...
でも、理解しがたい人のW優先順位Wがなんとなくでも分かれば、「あ〜、この人はこのことを大切にしてるんだなぁ〜。じゃあ、仕方ないか」と少し納得できそうな気がします。安心できるといえるかもしれません。なぜなら、オバケが怖い人は、オバケが理解不能だから怖いわけで、理解可能なものは怖くはないですよね。それまでの『理解しがたい人』から『少しは理解できる人』になれば、それは大きな変化かと思います。
一方、馬が合う人などはW優先順位Wが近いのかもしれません。価値観が似ているというか。W優先順位Wをキーワードとして周囲の人々を見てみると、なかなかに興味深いですね。