「WふつうWとはなにか」 を問われる物語
衝撃を受けた小説です。
『コンビニ人間』 (著)村田 沙耶香
2016年に芥川賞を受賞して話題にもなっていたので、 読まれた方もいると思います。読みやすい文章ですし、 ページ数も少ないので、 すぐ読み終えてしまいます。
私は、 面白かった本を読んだ後にアマゾンのカスタマーレビューを見るのが好きなのですが、この 『コンビニ人間』 のカスタマーレビューは 500
件ありました(これは2019年当時の数であって、2026年には12、000件)。 沢山のレビューは読みごたえがあったというか、 全ては読めませんでした。
というか、 実際の本を読んでいた時間よりもレビューを読んでいた時間のが長かったという事実。
レビューに 「普段は本を読まないけど、 この本は読めました」 という感想がいくつか見られました。 そうなんです。 ライトな感覚でサラッと読めるにも関わらず、 ズシッとくるものがある。 これは作者の力量なのではないでしょうか? 難解な文章を駆使し無駄に長文になった 「これぞ文学」 などという世界と対極にある作品です。
主人公は、 少し変わった女性。 その彼女が、 社会の歯車として『ふつう』 に生活するために悪戦苦闘するというストーリー。文章は一人称で語られるので、
読者本人がその変わった女性になったような感覚になります。本を読み進めるごとに、 私は主人公になりきっていたので 「私って普通にしてるよね。 大丈夫だよね」
と不安感が増していきます。さらには、 「そういう俺は大丈夫なのか」 とリアルな自分自身の足元があやふやになっていく始末。 私がこの本を気に入った要因はこの揺さぶられる感じかもしれません。この揺さぶられ感は、
「全米が泣いた」 ような作品で 『魂が揺さぶられる』 的な感動ものとは全く違います。 不安感から動揺性のめまいを引き起こしそうなものです。
レビューでも同じように揺さぶられて、 自分が不安になったとコメントした人が大勢いました。そして、 その不安になった人がいるということを知って 「あっ、 同じ」 と安心する人も多数。一方、 「ただただ面白い話でゲラゲラ笑いました」 というレビューもあり興味深い。
お気に入りの作家ができて嬉しくなり、 他の作品もいくつか読んだのですが、 なんかピンときませんでした。 ただ、 anan で連載していたエッセイ集は面白かったです。
この作家は昔からの友人からは 「クレイジーさやか」 と呼ばれているらしく、 納得できます。