【FD症例】ストレス要因がないので「いつ治るんだろう」と不安
20代女性、入社三年目に自律神経失調症で来院したケースです。
胃の不快感が常にあり、通勤で立ちくらみが起きるようになった。20才から体調不良に悩まされていて、三年前の大学生の時に機能性ディスペプシア(FD)と診断される。
元来、胃は強くはない。朝が弱い。こんなに長期間悪いのは初めての経験。通勤も厳しくなってきている。
ストレス要因が思い当たらないので、「いつ治るんだろう」と不安になる。
施術しながら話を聞いていくと、コリに対して鈍感なタイプだとわかる。また、ストレスというものがよくわからないため、無理ができてしまうそう。仕事上でも、業務をそつなくこなすタイプではあるので、仕事が回ってきてしまうとのこと。
まず、身体面からいうと、コリに鈍感なタイプは、コリが相当悪化してからでないとコリを体感できません。そして、コリがひどくなるとその深部にある背骨も拘縮していき、さらには背骨から伸びている神経の伝達が悪くなります。そうなると、内臓の不具合が起きてきます。これが骨格の問題から自律神経失調症になるパターンの代表例です。
原因がコリだとは思いつかないので、症状が続くことで不安になり、心理的ストレスによりコリが悪化して内臓の調子も悪くなるという悪循環に陥ります。
また、ストレスがわからないということも重要なファクターです。
ストレスを心的ストレスと考えると、心がわからないというタイプの人は心が疲れるということもわからない傾向があります。
そういう方には、ストレスは脳がバテている状態と説明しています。身体が疲れない無敵な人はいないように、脳が疲れない人もいません。しかし、脳疲労に対して鈍感な人はいます。疲労に鈍感な人は無理が効くようにみえますが、あるラインを越えるとドッと疲労が押し寄せてきます。前述のコリに鈍感の例もありますし、脳が疲労すると内臓に不具合が出てくるケースがあるのです。
この女性の場合は、ストレスがわからないために、仕事上で自分の限界を越えて無理を続けてしまったのでしょう。脳の疲労から自律神経が乱れて胃の働きが弱り、立ちくらみも起こったと考えられます。
この女性のように、入社三年目以内で自律神経失調症になる方は沢山います。本人的には自分の範囲内で頑張っているつもりでしょうが、限界を超えてしまうケースが多いです。
仕事は陸上競技のマラソンのようなもので長期間のスパンで頑張っていくものです。ペース配分をしてリタイヤしないようにゴールに向かうことが大切なのに、新社会人のなかには短距離走のような頑張り方をしてしまう人がいます。そうなると、どこかでバテてしまうわけです。
この女性には骨格の施術をしていくとともに、「自分はストレスを感じていない」という思考のフレームを変えるような話をしました。ストレスを感じていなかったのは、ストレスに対して鈍感なだけで、脳はしっかり疲労していたということを自覚してもらい、今後は自分の脳がオーバーワークにならないような仕事のペースを覚えていくことを提案したのです。
彼女の症状がよくなっていったときに、会社の人に整体に行って良くなってきたと話すと、「整体でよくなるの?」と半信半疑だったそうです。
自律神経失調症は、身体だけが原因であれば、身体にアプローチすれば改善します。しかし、心や脳の観点が抜けていると再発することが多いです。
当院では、再発しないために「ストレスとはなにか?」「心の疲労とはなにか?」「脳がバテないようにするには?」ということを言葉で説明しています。それが、思考のフレームを変える心理療法でもあるわけです。悩みをじっくり聞くことだけが心理療法なわけではないのです。
そして、この女性は6回の施術で改善し、卒業していきました。
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